なんにでも使える返し

ずっと前にツイッターで話題になったのだが、

「雑談で何にでも使える返し」というものが紹介されていた。

それは
「人生みたいだね」と「それを打ち破るのがロックだ」
の2つである。

試しにシミュレーションしてみた。




「桜が綺麗だね」
「人生みたいだね」

「上司がなかなか自分のやり方を認めてくれなくて」
「それを打ち破るのがロックだ」




確かにいける。

思うに、普通の雑談も各種エンタメ同様「共感」と「驚き」が重要であるからこそ、
この返しが成り立つのだろう。

人生については、それが内包する出来事が無限にあるため、
ほぼどんな出来事とも類似性が見つかる。
だから「共感」を得られるし、
同時に人は日常的には人生についてあまり考えていないので、意表を突かれて「驚き」が生まれる
ということなのだ。

川がゆっくり流れていることも、パソコンが急に動かなくなることも、錦織圭がテニスに強いことも
全て人生に当てはまる要素を持っている。

ただしこれはあくまで相手が人生に影響しない「感想」や「事実」を述べたときに使える返しである。
「最近結婚した!」みたいな人生に影響している話に対して「人生みたいだね」と返しては比喩表現になっていないのでダメだ。


(これから先は雑談における発話の分類をしっかりしているわけでは無いので、ちょっと雑な議論になるのは見逃してください)



人生に直結する発話について有効なのが

「それを打ち破るのがロックだ」

である。


ロックという言葉は、「かっこよく常識(現行の秩序)から外れたことをする」
というイメージを持つ。

そして多くの人の発話は常識的なものである。
だからこの返しは、会話において
常識 vs 非常識 という図式を持ち込み、
その新しさが人を驚かせる。
同時に確かにそれはロックだよなあという共感も生む。(当たり前だが)
   
   e.g.
   「最近結婚した!」「それを打ち破るのがロックだ」
   「なかなか結婚できない」「それを打ち破るのがロックだ」
    なんとなく良いこと言っている感。

ちなみに
「人生」は、「AはBである」という表現に対してしか使えないが、
「ロック」は射程が広い。常識を前提とした
「AはBしたい/したくない」「AはBすべき/すべきでない」にも使える。

例えば
「悩み」は発話主が現状を変え「たい」という発話であるし、
「助言・意見」は聞き手の状態や世の中に対して、常識的に考えるとこう変わる「べき」という発話である。
どちらも「常識」とか「現実」を土台にしているからこそ、
ロック
が有効な返しになる。





ここまで書いて、やはり雑談の発話の分類が必要に思えてきた。


自分
相手
自分と相手が知っていること
自分のみ知っていること
相手のみ知っていること

事実判断(キャベツが値上げしている)
価値判断(キャベツの値上げは良くないことだ)
政策判断(キャベツの値上げを止めるために、農家を支援すべきだ)


といった要素をもとに分類した方が良さそうだ。

今日はここまで。あとは後日。